「人吉球磨はなんでもある街なんです。豪雨災害でそれを再認識しました。
私はこの街が大好きです。
この街も、この街に住む人も。」
九州の小京都と呼ばれる隠れ里、人吉球磨。
熊本県の最南端に位置する人吉球磨は、鹿児島・宮崎両県にも隣接しているものの、四方を山々に囲まれ外界から閉ざされた盆地であるため、700年もの間、相良藩による統治が続き独自の歴史文化、郷土芸能が育まれた古き良き街である。
そんな歴史と文化の街に新しくカフェがオープンした。
昭和9年創業のお漬物屋さん永尾商店が運営する「揚げパン屋 ”ながとら”」である。
街並みにもよく合う木を基調とした古民家風カフェ。
テラス席にはよく風は吹き、天気がいい日には心地よい昼下がりを過ごせそう。
「テラス席がおすすめです。コーヒーやおすすめの漬物カレーパンを食べながら、友達やお客さんと話すのが楽しくて大好きなんです。若い子はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃんも来てくれるので、井戸端会議って感じですね。」
漬物カレーパン?、、、
味の想像が全くつかない。
カフェの紹介をしてくれたのは、ながとらで働き始めて半年の吉田凛花さん。
人吉球磨出身の20歳。高校卒業後に一度大阪の企業へ就職したが、地域の愛着が溢れすぎてUターンを決意した。
吉田さんの地域への愛着と情熱について話を伺った。
小さくも、住民がまとまり、守ってきた古き良き街
吉田さんは熊本県人吉市出身。
6人兄弟の長女として生まれ、幼い頃から家族だけではなく地域の中で育ってきた。
「私はおじいちゃん、おばあちゃん子なんです。自分の祖母、祖父はもちろんですが、近所のおじいちゃん、おばあちゃんも可愛がってくれて地域そのものが育て親という感覚です。」
熊本県人吉市は、九州地方に位置する人口3万人ほどの小さくも美しい歴史都市。
日本三大急流のひとつに数えられる「球磨川」が街中を環流しており、豊かな山々と温泉や名所旧跡が豊富。特に人吉城や国宝青井阿蘇神社が有名で、伝統文化と自然を満喫できる観光地として有名である。
「人吉は小さい街だけど、人がまとまっている地域なのが魅力です。
自分たちの街はみんなで作るんだ!という意識が高いんです。お祭りや地域行事も地域のみんなで参加するのが当たり前になっていました。
人のまとまりは町にも表れていると思っていて、古い町並みが今でもちゃんと残っているんです。今まで先輩たちが残してきた街並みへのリスペクトがあるから、壊すより直そうと考えるんだと思います。そんな街並みが自慢ですね。」
古き良き歴史都市人吉球磨。しかしある日突然、人吉球磨を自然の猛威が襲った。
令和2年7月2日。
熊本県、鹿児島県上空の梅雨前線が停滞・活性化。それに伴う豪雨は各地を襲った。
人吉球磨地域は特に降雨量が多く、雨による影響で球磨川が氾濫した。
一変した街並み。改めて気付いた地域への情熱
豪雨災害が発生した令和2年、吉田さんは高校3年生だった。
「私の高校は商業関係の高校だったので、災害復興のお手伝いとして高校の文化祭で被災したお店の商品を高校生の手で販売する復興マルシェを開催することになりました。
その時に私が担当させて頂いたのが永尾商店さんのお漬物でした。」
永尾商店は豪雨災害で本店が全壊し、先代社長が犠牲に。
先の見えない状況に途方に暮れていたという。
「社長の話を聞いた時に、どうにかして永尾商店さんの力になりたいと思いました。
なんとかして、力になりたい。できることは何でもやる。そう覚悟を決めたのを今でも覚えています。
文化祭での販売は大成功。
吉田さんはその後、高校を卒業し一度大阪へ移住。
しかし、心の中には人吉球磨そして、永尾商店への情熱が残っていたという。
「豪雨災害があり、永尾さんの話を聞き、実際に自分も販売支援などをさせて頂いたことにより、地域への愛着がこれまでにないほど大きくなりました。
愛着じゃないな、「情熱」ですね。地域への情熱が芽生えました。」
昔と今が融合する人吉球磨を
人吉球磨を昔と今が融合した街にしていきたいと吉田さんは語る。
「災害からもうすぐ4年が経ちます。災害後、人吉球磨には新しいカフェやお店がたくさんできました。ながとらもそのひとつです。
昔は何もないと思っていたのですが、今は逆になんでもあると思っています。
友達を呼んで、一日中遊び尽くせるくらい人吉球磨は楽しい場所だと思います。
だからこそ、新しい風だけでなく、私を育ててくれたおじいちゃん、おばあちゃんや、永尾商店の漬物のような昔ながらの人吉球磨と、新しいカフェなどが融合する街にしていきたいと思っています。
これまでの人吉球磨が大好きで、これからに地域を作っていく私だからこそ、昔と今の融合を実現できると思っています。
それこそ、名物の漬物カレーパンは昔と今の融合の第一歩ですね笑」
極端な職場だからこそ、お互いに支え合いながら働ける
吉田さんは、カフェ「ながとら」のスタッフと、本店のお漬物作りや経理など社内の業務を幅広く担当している。
吉田さんとカフェのアルバイトさんを除くと、社員の平均年齢は60歳を超える。
だからこそ、パソコンでの業務や、マネジメント、広報など吉田さんの役割は多岐に渡る。
「最初は40歳以上の年齢差に驚きました。
訛り・方言が聞き取れなかったり、話の内容が合わなかったり、と多少苦労はしました笑
でも3ヶ月くらい経ったら、コミュニケーション上の問題は全く感じなくなりました。
むしろ、大阪の会社員時代よりはるかに相談しやすい職場環境ですね。
上司というより、まさしくおじいちゃん、おばあちゃん。
教え方も優しいし、すごく丁寧。
逆に私が役に立てることも明確だから、やりがいがあります。
頼りにしてもらえるのも嬉しいですし、お互いに役割分担が明確なの働きやすいですね。
とても安心感がある職場だと思います。」
お客さん 共に働く仲間 地域 三方良しの働き方
地域に対する強い情熱を持つ吉田さん。
永尾商店での仕事を続ける理由にも地域への情熱が込められていた。
「この会社で働くようになって地域の人との交流が増えました。
カフェのアルバイトさんやお客さん。
本店の社員さん、お客さん。
野菜を仕入れさせてもらっている農家さん。
他にも色々な地域の人と話す機会があるのですが、話すうちにここでの仕事を通して地域の人をもっと幸せにしたいと思うようになりました。
アルバイトの店員さんのような若い世代が働きやすい環境を人吉球磨で作ってあげたい
人吉球磨の人が気軽に立ち寄れて、井戸端会議できる場所を作ってあげたい
漬物を作ってくれるおじいちゃん、おばあちゃんが長く働ける職場を人吉球磨で作ってあげたい
農家さんが、天候で野菜の出来が悪くてもちゃんと買取できる環境を作ってあげたい
誰もが、いつでも美味しい漬物を毎日食べられるようにしてあげたい
そのために、永尾商店、ながとらで私はこれからも働きたいと思っています。」
カフェ、お漬物屋さん。
ふたつの顔を持つ吉田さん。
しかし吉田さんは、それぞれを別の仕事としてではなく、地域へ変化をもたらすという同じ目的を持つ仕事として見据えている。
どちらの側面も彼女自身であり、彼女の持つ地域への情熱が1つの仕事としてまとめているのである。
「熱を帯びる」という生き方
吉田さんの生き方はまさしく「情熱」。
本人も「熱い人」や「熱量のある場所」「熱がこもった事」が仕事関係なく好きだという。
たまの休みは、大好きなジャニーズのライブで思いっきり楽しんだり、友達と大好きなドライブを楽しんだり、活発に過ごす。
「私の望むライフスタイルは“全部全力”です。
仕事も、遊びも、人付き合いも、漬物作りも。全てに熱量を持って頑張りたい。
どんなことに関しても、熱量が全てだと思っています。
そこにどれだけ熱量を持てるか。どれだけ本気になれるか。
熱量を持てない、本気になれない、そういうことは続かないと思っています。
全力で頑張っている人は、周りも支えてくれるし、同じように全力の人が集まってくると思います。だから、私も全力。
いつか、壁にぶつかった時や、何かに挑戦したい時、今の全力がきっとその時に支えになってくれると思う。逆に今、困っている人や何かに挑戦したい人がいれば、私が支えになりたい。それが永尾商店だったんです。
「熱を帯びる」ということは全てに通じると思います。」
明るく、時にふざけながら、終始笑顔で話す吉田さん。
しかし心の内側には沸々と確かな情熱が沸いているのを感じた。
彼女の情熱が今後、人吉球磨という地域にどんな希望をもたらすか楽しみである。
情熱と想いやりを持っている仲間
ながとらは、カフェである前にお漬物屋さん、お漬物屋さんである前に地域の一員だと話す。
「ながとらは、地域の人のための場所だと考えています。
人吉球磨はまだまだ復興の途中、だからこそいくらでも進化できます。
永尾商店も一緒です。地域の人のための漬物屋さんです。
だからこそこれからもっともっと進化していきたい。
その進化を一緒に楽しみ、情熱を持って地域の未来を創れる仲間を募集しています。」
また、地域と共に生きていくからこそ決して外せないのは「想いやり」だという。
単に進化するだけでなく、地域の人と共に歩んでいく。
そのためには地域の人と、関わり、気遣い、支えあえる「想いやり」が必要不可欠。
「職場もですが、周りの環境も、地域も、おじいちゃん、おばあちゃんが大多数です。
時には、苛立ってしまったり、難しさを感じることもあります。
しかし、おじいちゃん、おばあちゃんと共創することにこそ、意味があると思います。
昔と今の融合とはお互いに理解し、想い合うこと。
だからこそ、一緒に働く人には想いやりの気持ちを持ってもらいたいですね。
おじいちゃん、おばあちゃんが大好きな人は、特に大歓迎です♪」
会社概要
地域に必要とされる会社へ
永尾商店の今後の展望は、地域に根付いてこの地域に必要とされる会社づくりを目指しています。
お漬物工場ではこの地域で採れた野菜を地元のおばちゃんたちの手で加工し地域に還元できる仕組みを整え、新事業のカフェで復興のシンボルとなれるような場所をこの地域に提供していけたらいいなとおもいます。
お漬物の魅力をこれからも
昔に比べてお漬物の需要は極端に減っています。
そんな時だからこそ若い人にもお漬物の良さをお漬物工場とカフェと連携して広めていきたいと考えています。
作り手の減少、高齢化も課題となっているお漬物の日本古来の伝統技術である植物由来の乳酸発酵を生かした乳酸菌による健康づくりを伝える活動にも取り組んでいきます。
創業者の想い
先代の地元に愛される商品を作りたいという意思を9年前に引き継ぎました。
この味が好きで買ってくださるお客様にためにもこの味を守り続けたいという思いでカフェの事業にも取り組んでいます。
若者が地元に残って働くことができる仕組みを作るきっかけになれるようにこれからも活動していきます。
三代目 永尾禎規
募集内容について
企業名 | 永尾商店 |
---|---|
仕事No. | 00005 |
価値観 |
|
暮らし方 |
|
求めるスキル |
|
地域 |
|
働き方 |
|
関心テーマ |
|
雇用形態 |
|
求める人物像 |
|
応募資格 |
|
新卒エントリー |
|
未経験者エントリー |
|
勤務地の住所 | 熊本県人吉市紺屋町4および熊本県球磨郡相良村柳瀬3411 |
勤務形態 | 正社員 |
勤務時間 |
9:00〜18:00
|
給与 |
月給 200,000円
|
休日・休暇 |
|
入社後のステップアップ |
|