葬儀場といえば、葬儀に参列するときくらいしか足を運ばない。だから、何も執り行われていない昼間の葬儀場に、初めて訪れた。耳障りの良いゆったりとした音楽がわずかに聞こえていて、静かに心が安らいでいく。
「セルモ玉泉院 上熊本会館」。ここに務める前野晃明さんは、新卒で入社し、この道9年目の31歳。現在は、館長代理を務めている。
「出身は鹿児島で、福岡の大学に進みました。就職先を考える時、地元の鹿児島に戻って就職したいという強いこだわりがあったわけではありませんが、地元も視野に入れて探していたとき、冠婚の華やかな仕事に魅力を感じ、鹿児島のセルモグループに就職しました。」
「冠婚の方で入社したのですが、たまたまその年は、新入社員は一旦熊本に集められ、営業→葬祭→冠婚と数ヶ月おきに研修を受けていく流れになっていました。
“営業”を経験し、次に“葬祭”の研修を受けたのですが、思いの外、葬祭の仕事がしっくりきてしまって・・・。次の“冠婚”の研修を受けないまま、9年目に突入。結婚もし、熊本に居着いてしまいました(笑)」
バランスのよい仕事
「ありがとうございます」と言われる仕事
「葬祭の仕事は、毎日決まった仕事ではなくその日その日で、業務が変わるんです。接客もあれば、デスクワークもあるし、現場もある。静的なデスクワークだけとか、動的な営業周りだけ、といった仕事よりも、静と動の両方ある業務が、私にとってはバランスがよくて、居心地のよさを感じました。
働きやすいと思う業務は人それぞれ。日々の業務内容が違うことを苦手とする人もいるだろう。しかし、前野さんのように単調な仕事よりも、いろいろな業務が織り混ざった方が性に合う人にとっては、葬祭の仕事はベストなバランスなのだ。
「この仕事は、終わった後に『ありがとうございました』の言葉をお客様からいただける仕事なんです。後日、お手紙をいただくこともあります。そんな感謝の言葉をダイレクトにいただける仕事って、そうそうないのかなと。
私は、年間100組を超える葬儀を担当していますので、1年間で100を超える『ありがとうございました』をいただいています。励みとやりがいしかありませんね。」
葬儀は、残された家族とって何度も経験することがないこと。ましてや、亡くなってから2〜3日の間にバタバタと事を執り行わなければならない。心に寄り添い、悔いのないお見送りにしてもらいたいと、前野さん。その思いがカタチとなり、感謝の言葉となって帰ってくるのだ。
憧れだった冠婚の世界
しかし、葬祭の世界には深さがあった
「ありがとうございました」という言葉は、冠婚の仕事でもいただけるのでは?
そう疑問に思ったので、なぜ憧れだった冠婚の道には進まず、葬祭を選んだのか、率直に聞いてみた。
「煌びやかな冠婚の世界。祝福に満ち溢れていて、お客様の晴れやかな感情に触れることができます。一方、葬祭は、暗いイメージがあるかもしれませんが、人の人生の深い部分に触れることができるんです。
お客様とお打ち合わせをしながら、自分の何倍もの年月を生きてこられた方の生前の話をお聞きします。たとえば戦争や疎開など、わたしが経験しないような話を、 “お亡くなりになられた方に育てられた方”からお聞きする—。
さまざまな感情の機敏に触れながら、お亡くなりになられた方がどのようなお人柄でどのような人生を歩んで来られたのか触れることになります。このようなことは、他の仕事では経験できないんじゃないかと思います。
わたしは、亡くなられた方の人生に敬意を払い、お見送りのお手伝いをさせていただいています。」
「もう一つ、冠婚と葬祭の違いあります。冠婚は、複数のお客様とのお付き合いが同時進行で数ヶ月に渡ります。しかし葬祭は、2〜3日という短い日数。その間、マンツーマンで寄り添い、全力でお手伝いをさせていただくことができる。それが私に合っているんです。」
「おまえはつまらない」
父の一言がターニングポイント
「父は、老人ホームを経営していました。後々は、自分が後を継ぐことになるのかなと、漠然とした思いで、福祉の専門的な知識を学ぼうと、大学は社会福祉の道に進みました。
しかしある日、父から『おまえはつまらない』と言われたんですよ。後は継いでもらいたいとは思っていたと思います。しかし、私がすんなりと社会福祉の道に進んだので、親としては自分の人生を自ら選択し、歩んでもらいたかったんでしょうね。
父の言葉は、社会福祉について、自分の人生について見つめ直すきっかけになりました。」
父の一言が大きく胸に響き、自分と向き合うことになった前野さん。
「社会福祉の世界は、社会弱者からはお金を取ってはいけないという、ボランティアのような考え方があって、国に依存しがちなんです。それに違和感があり、ビジネスライクな仕事がしたいと思うようになっていました。なので、社会福祉とは違う道に進むことにしたんです。
自分で選んだ今の仕事は、やりがいがあり充実しています。人の人生に触れ、自分の人生もちゃんと歩めているのかなと思います。」
選択したのは冠婚葬祭の仕事。
ホスピタリティがボランティアになりがちな社会福祉とは違い、冠婚葬祭はホスピタリティがビジネスとしてwin-winの関係を構築できている。
前野さんに、「根本的なホスピタリティは変わらず、理想とするビジネスライクな仕事に就けましたね」と言うと、本人ははっとした表情で「そうですね、気付かなかった!」と驚いていた。
人にやさしく、自分に負担をかけず
バランスよく
「父が老人ホームをやっていたというのもあるんでしょうけど、人にやさしくありたいと思っています。しかし、ボランティアみたいに自分に負担はかけず、バランスのよい生き方ができるといいですね。仕事でいえば、私たちの仕事は、亡くなったあとに携わることがほとんどなので、ご家族の心残りを、葬儀をきっかけに解消していただきたい—。伝えたい気持ちをカタチにしてもらう機会となるよう、ご家族の気持ちを汲み取ることを心掛けています。」
奥様の気持ちは汲み取れていますよね?
「はい、汲み取れていると思います(笑)」
ウッドデッキでボ〜ッ
地味溢れる食にホッ
奥様とは職場恋愛。現在は、奥様の実家のある合志市で二人暮らし。今、熊本の中でも開発が進んでいる合志エリアは住みやすく、子育て支援も充実しているので子どもが生まれてからも快適に暮らせそうだと語る前野さん。
プライベートの過ごし方について聞いてみた。
「休みの日は、家のウッドデッキでまったりボ〜ッと過ごすのが好きですね。もちろん、食事に出掛けることもありますよ。そのときは、近場でなく、ちょっとだけ遠出してドライブ気分も楽しんでいます。
最近だと、山鹿の味噌汁カフェに行きました。地味溢れるごはんに癒されます。あと、熊本市北区にあるだご汁が美味しいお店も好きですね。」
時代に合わせた
新たな葬儀のカタチを創出したい
「コロナ禍に葬儀場に人が集まれないという経験から、葬儀にzoomを導入しました。このように、これから時代の流れや変化で、葬儀への求められ方、関わり方も変わり、葬儀業界として変わっていくと思います。その変革に影響を与えられるようになれたらいいですね。
新たな葬儀のスタイルを考えていけたらと思っています。」
人にやさしくありたいと思う人とともに
「この仕事は、専門的な知識や経験がなくてもできる仕事だと思います。ただ、人にやさしくありたいと思う人の方が、すんなりと仕事に入れるのではないかと。これまで生きてきた中でのホスピタリティやそれぞれの経験を生かせる職だと思います。人の気持ちに寄り添い、人の気持ちをおもんばかることができる人と一緒に、式を作り上げることができるといいですね。
暗いイメージがあるかもしれませんが、人の人生に触れることができる仕事は、他では得ることのできない素晴らしい人生経験だと思っています。」
会社概要
地域をつなぎ、未来を創る
ITやAIの発展により、私たちの生活は今後より豊かになっていくと予想されます。 一方で人と人のつながりやご縁というものは年々希薄化してきていると感じます。 私たちはそんな時代だからこそ人と人とのつながりを大事にしていきたい。 人とのご縁や想いを形にしていくことをサポートしていきたい。
「ありがとうございます」「幸せでした」という言葉が多くあふれ、人々が心豊かに暮ら せる社会をつくっていきたい」そう思っています。
人と人とのつながり、 ご縁や想いを大切にする
私たちの仕事には1つとして同じ答えがありません。 お客様が100人いれば100通りのセレモニーがあります。 常に「どのようにしたらお客様に喜んでいただけるか」という想像と仮設のもとその時その時のベストを尽くすということが現場に求められます。
つながりを紡ぎ、ご縁を築く架け橋として、私たちはこれからも進んでいきたいと考えております。
縁に気付き、縁を築く
私たち、セルモは1968 年の創立以来、冠婚葬祭互助会業を通してたくさんのお客様と向き合い数々の人生の節目に、寄り添ってきました。
「感動」を与え「縁に気付いてもらい、縁を築く」
これこそが、私たちの使命だと考えています。
セルモは、単なる冠婚葬祭企業ではありません。
お客様が人生の節目に、大切な人ときちんとつながる。
そのご縁を一緒に作ることこそ、セルモの責務であり本業です。
「今日の縁に気付き、明日の縁を築く」という理念のもと
誰よりも真摯に「冠婚葬祭」と向き合い、多くの縁を生み出す企業であり続けます。
募集内容について
企業名 | 株式会社セルモ |
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仕事No. | 00007 |
価値観 |
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暮らし方 |
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求めるスキル |
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働き方 |
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雇用形態 |
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求める人物像 |
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応募資格 |
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新卒エントリー |
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未経験者エントリー |
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勤務地の住所 | 熊本県熊本市中央区世安1丁目4-1 |
勤務形態 | 正社員 |
給与 |
年俸2,400,000円(大卒・専門卒) 月給200,000円(年俸の12分の1を支給) |
給与詳細(昇給制度やボーナスなど) | 賞与:年俸制のためなし 昇給:年1回(業績による) |
福利厚生 | 社会保険完備、交通費支給(上限15,000円)、資格取得支援有 |
給与以外の報酬 | 通勤手当、残業手当、契約手当 目標達成手当、キャンペーン手当 |
休日・休暇 |
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入社後のステップアップ |
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