「会社だと思わないですよね。笑
大体みなさん、一度通り過ぎて場所がわからないですって電話がくるんです。
私も最初驚きました。」
熊本県の中心に位置する熊本市東区。
閑静な一軒家が軒を連ねる住宅街にポツンと現れる築60年の木造の古民家がフミダスの本社である。フミダスは2012年に設立し熊本市を拠点に、実践型キャリア教育や実践型インターンシップなどを通して、若者と仕事と地域を結ぶ事業を展開している。
あたたかい雰囲気の残る古民家を訪れると、女性社員が出迎えてくれた。
なんで古民家オフィスなんですか?と聞くと、 「誰でも立ち寄れて、相談や雑談ができるような場所にしたいからだと聞いています。学生や企業の方など本当に多くの方が尋ねてきてくださるんです。中には、泊まれる部屋もあります。県外からのインターン生も多いので、長期滞在する時はその部屋に住み込みで働いてもらっています」
なんともアットホームな会社だ。
話してくれたのは入社3年目の竹村寿美礼さん。フミダスに入社したのは2021年の6月。
熊本に生まれ、大学で一度県外に出たものの地元愛が強くUターンを決意した。
そんな竹村さんが熊本で、フミダスでどう暮らし、働き、生きているのかを伺った。
豊かな自然と、美味しい空気、美味しい水
竹村さんが住む熊本市は、人口約70万人が暮らしている熊本県の中心都市。製造業が主要産業であり、自動車や電機製品、食品加工などが盛んである。県内の観光名所である阿蘇山や天草、温泉で有名な玉名市や人吉市へ車で1時間半で訪れることができ、自然に囲まれた暮らしやすい地方都市として人気が高い。
「熊本は豊かな自然と、美味しい空気、美味しい水、それらで育った野菜たちに囲まれて暮らせる地域です」
交通アクセスも良く、新幹線や高速道路が整備されており、福岡にも1時間足らずで訪れることができる。近年では、アジア圏企業の進出に伴う再開発により益々住みやすいまちづくりが進んでいる。
熊本市には利便性や豊かな自然など多くの魅力があるが、竹村さんが暮らし続ける理由は「田舎がゆえの距離感の近いコミュニティの心地よさ」だ。
「私は小さい頃から田舎で育ち、家族だけでなく地域の人たちに育てられたという実感があります。田舎がゆえに人と人の距離感が近く、見方によってはプライバシーがないとも取れるような環境でした。私はそのコミュニティが心地よくて好きで、家に帰ると玄関にたくさん置かれた白菜やほうれん草。物々交換がいまだに続く。高齢化しているけれど物々交換や井戸端会議で違いに支え合い、地域の子供をみんなで見守り育てる。休みの日はみんなでグラウンドゴルフをして、子供会での旅行や老人会での百歳体操。そんなコミュニティがある地域で暮らすことに心地よさを感じます」
「何もない」という魅力に気づいた
熊本県菊池市で生まれ育った竹村さん。
学生時代は地元に対する愛着がなく、むしろ嫌悪感すら抱いていた。最寄りのバス停まで徒歩40分、コンビニもなく、不便で何もない地域だと不満を感じていた。
しかし、その気持ちは大学4年生の頃に変化したという。
国際協力に関心があり、国際色豊かな大学に進学した彼女は、貧困国でのボランティア活動を通じて、地元の幸福度との対比に触れた。
「貧困国の人々が厳しい状況でも地域を愛しイキイキと暮らしている姿を見て、私も故郷に目を向けました。高齢化が進む中、伝統や自然、農業を守る人はどれくらいいるのだろうか?若者の地域への関心は低く、私の友人にも熊本に関心を持っている若者はほとんどいませんでした。この現状に危機感を覚え、熊本に戻り、まちづくりに取り組む決意をしたんです」
大学在学中の様々な国や地域の友人との出会いや、彼らの故郷への訪問は、自分の故郷に対する愛着や想いを改めて考えなおす機会となった。その結果「何もない」と感じていた故郷の豊かさに気付いたと話してくれた。
何もない、けど何でもある
竹村さんは休日はとにかく自然を満喫しているという。
「熊本の魅力は何と言っても豊かな自然だと思います。私は週末になると趣味である登山やキャンプをします。その土地のもので作るキャンプ飯が楽しみの1つです。あとは旅が好きなので、思いつきでドライブしたり、友達を訪ねて急に旅に出たり、海外に行ったり。よくフッ軽と言われます。(笑)」
元旦には友人と山頂からの初日の出を見るために登山をしたり、時には地域の農家さんの収穫や田植えなどを手伝うこともある。
プライベートの時間で地域の人とのコミュニケーションをと取ることで地域との接点を作る事ができるそう。彼女の日常は仕事や趣味という垣根を越え、暮らし方そのものになっているように感じる。
「私が心地よいと思うライフスタイルは、仕事も休みも100%です。休みの日はとにかく外へ出ることが好きなので、全力で朝から晩までみっちり動きます。(笑)
その分、仕事も全力。休日に充電をした分、仕事に費やします」
数ヶ月先の休日の予定まで埋まっていることもある。
1日1日全力で挑み、全力で楽しみ、全力で生きていることが伝わってくる。
まさしく「全力」が彼女のライフスタイルなのだ。
きっかけはまちづくりへの想いから
竹村さんは、フミダスで教育事業を担当。
具体的には、高校生や大学生に対してキャリア教育やインターンシップのコーディネートを行っている。
前職はインバウンド関連の仕事に従事しており、教育事業は全くの未経験で、最初は戸惑いが大きかったと話す一方で全く経験がない仕事だからこそ、自分の成長も大きいと話す。
挑戦する中で経験を積み、成長する竹村さんがこの仕事を選んだ理由や、仕事をしている上で感じる「やりがい」や「価値」を伺った。
大学卒業後、地元である菊池市でインバウンドを軸としたまちづくりに取り組んでいる会社に入社したが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い事業が縮小してしまう。
そのタイミングで、もっと色々な軸からのまちづくりを学びたい!
まちづくりには欠かせない「共創」する仕組みづくりを学びたい!
と思い、フミダスへの入社を決意した。
入社するまではまちづくり事業に携わりたいと思っていたが、入社後担当することになったのは教育事業。戸惑いはあったが実際に事業を担当し始めると、教育事業に対する認識が変わりのめり込んでいったという。
教育事業は誰のどんな幸せを作る仕事ですか?と聞くと、まっすぐな目線で即答した。
「高校生や大学生・若者が自分自身のありたい姿を実現でき、イキイキと生きるために全力でおせっかいをする仕事です。そのために彼ら自身へのキャリア教育や様々な支援事業、それと合わせて彼らが踏み出せる環境づくり・まちづくりを行っています」
彼女の中で教育事業とまちづくりは決して別物ではなく教育もまちづくりだという認識が芽生えている。教育とまちづくりの繋がり、そして若者の変化に気づいたことにより、仕事へのやりがいがより大きくなったと話す。
「学生たちと一緒に新たな発見をする時や、彼らが授業を楽しんでくれる姿を見ると、本当にやりがいを感じます。教育やまちづくりは成果が見えにくく、不安もつきものです。しかし、関わってきた学生がプログラムを通じて成長し、その変化が顕著に現れる瞬間は、本当に“やってよかった!”と感じる瞬間です。学生の成長に期待をしていると同時に、自分自身にも活力が湧いてくる瞬間なんです」
彼女の言葉には、熊本の未来への期待と使命感が滲みでる。
「わからない」ということは、新たな挑戦があるということ
前職とは全く異なる業務領域への転身に不安はなかったのだろうか。
「前職は、教育とは縁遠い分野でしたし、そもそも人前で話すことも苦手で、できるだけ裏で仕事を進めたいというタイプなので実をいうととても不安でした。
正直な話、今も不安を感じる瞬間は多々あります。ただ、わからない分野ということは、その分新たな挑戦の場でもあるということなので、不安と共に新しいことへのワクワク感も感じていました」
不安を感じる一方でフミダスでの新たな役割に楽しみを見出すことで彼女の視野は大きく広がった。
高校や大学でのキャリア教育の授業を担当し、自身の変化に気付いたという。
「最初は苦手意識がありましたが、今では学生たちとの関わりが楽しく、教育事業がこんなに楽しいと思うなんて、想像していませんでした」
苦手なことを克服するために、様々な工夫を凝らしてきた。
経験のない分野での新たな挑戦に向き合ったからこそ、彼女は成長したのだろう。
「経験がない分、悩みや苦手を克服するのに時間がかかりましたが、「最初からできない」と決めつけず、積極的にチャレンジすることが大切だと感じます。フミダスは常に新しい事業を生み出し続ける会社なので、挑戦の機会は多かったと思います。その点はとても感謝しています」
挑戦する姿勢と工夫こそが彼女の成長の大きな要因である。
地域への愛着、未来への課題感、そして新領域への挑戦
休日も活発に活動する竹村さん。
何事にも全力で取り組む彼女には、生きる上での軸になっている価値観があるという。
「人生一度きり、自分のやりたいと思うことはなんでもやりたいという思いで常に生きています。逆にいうと、やりたくないことに時間を費やすことはしない生き方をしています」
“人生一度きり”
この言葉には彼女の生き方そのものが現れている。
悩むくらいならば踏み出した方が見れる景色に幅が出て多くの経験をすることができる。全く経験した事がない教育事業に飛び込むことで、これまで見たことのない新しい景色を見つける事ができたのだ。
一方で、新しい一歩を踏み出す時に不安や傷はつきもの。誰しもがその決断にためらった経験があるのではないだろうか。
彼女も決して例外ではない。ただ彼女の選択にはルールがある。
“物事を選択する際はいつも自分の心に従って、自分で選択をする”
「他人にもらった意見で決めてしまうとうまくいかなかった時、どうしてもその人のせいにすることができるからです。常に軸は自分の中において生きることを心掛けています」
決断も選択も挑戦も展望も幸福も後悔も。彼女にとってその主人公は自分自身。
だからこその、全力投球。
目指す地域の姿を聞いた。
「地域の人たちが愛着を持っている地域を創りたいです」
彼女の周りでも、高校や大学を卒業すると同時に地元を離れる人が大半を占めた。
「熊本には何もない」「熊本は面白くない」と口々に言い、熊本で暮らすことが選択肢にすら入らないどころか、愛着すらもないのが現状。熊本が好き!地元が好き!だと言えるような誇りに思えるようなまちを、地域をつくりたいという思いが強くなった。
自らの経験や他の地域を訪れた際の感情から、地元の人々が愛し、誇ることのできるまちこそが魅力的であり、その魅力が外部にも伝わると実感した。
「熊本をずっと暮らせるまちにしていくためには、やはり中の人たちがこのまちに魅力を感じ、愛し、誇れることが不可欠だと思っていますし、まちの人たちがイキイキと暮らすこと自体がそのまちの魅力だと思っています」
最後に、今後の展望について述べてくれた。
彼女は、フミダスでの経験をさらに活かし、地域社会の発展に貢献していきたいという。
「これからも、地域の課題解決や活性化に向けて、積極的に取り組んでいきたいと思います。フミダスの一員として、地域社会に貢献し、まちづくりの未来に貢献していきたいです」
竹村さんの情熱と使命感が、まちづくりに新たな光を与えている。
彼女の活動が地域社会にさらなる活力と希望をもたらすことが期待される。
共創と変化を共に楽しめる仲間
フミダスの事業は、社会課題や地域課題の解決を目的にしている者が多く、答えの無い課題や測定の難しい成果に悩むことも多い。
だからこそ、この挑戦と変化を楽しむことができ、チームとして乗り越えていくことができる、前向きで活発な仲間を求めていると話す。
「フミダスの事業は答えのないものに対して手探りで取り組んだり、市場のないところに市場をつくっていったりと、事業を進めていく上でも様々な壁や変化が多くあります。そんな変化や壁も楽しむことができる、チームで乗り越えたいと前向きに取り組んでくれる、そんな仲間になってくれる人を募集しています」
さらに、フミダスで働く上で大切な価値観は「共創」だと話す。
フミダスの事業にも共通して言えるのは、産学官民が連携した「共創」の仕組みづくりを行っていること。この共創の精神は事業を進める上で欠かせない価値観でありフミダスの提供している価値そのものである。
だからこそ、社内でも助け合える関係性を重要視しており、担当事業や業務領域を超え、社員同士が支え合っている。
「私は教育事業担当ですが、災害復興事業の報告会で司会を担当することもあります。逆に教育事業で高校生の活動記録などをする際は他の事業の担当者に協力してもらっています」
事業を進める際には、地域の様々な方と「共創」できる仕組みづくりや、フミダスと協力したいという関係性作りが重要であり、そのためには社内のチームづくりも不可欠だと竹村さんは説明してくれた。
「私自身、教育事業の責任者として事業を進めていますが、だからといって全てを1人でやらないといけないわけではなく、常にワンチーム精神で互いに助け合いながら働いています。そんな価値観をぜひ共有できる方、共感できる方と共にはたらきたいと思っています」
会社概要
熊本をずっと暮らせるまちに
フミダスは、「熊本をずっと暮らせるまちに」をビジョンに熊本で人材育成と社会デザイン事業を展開しています。
人材育成事業では若者へのキャリア教育や活動機会の提供を通じて、地域社会で主体的に活躍できる人材の育成を、社会デザイン事業では地域の働き手と地元企業との結びつけによる地域経済促進などに取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて地域の人材育成と地域社会の繁栄が促進されることで、これからも住み続けられる魅力的な熊本を実現します。
社会に価値を提供し、 貢献できる人材の育成
現代の若者は社会や日常現象を自分事化できず、これからの日本はますます顕在化する社会課題に対処しなければなりません。
そのためには、「未来を切り開く人材」と「社会課題に主体的に関わり解決できる人材」が求められます。自己の生き方やキャリアを自立的に考え、社会に価値を提供し、貢献できる人材が必要です。
私たちは次世代育成事業を通じて、若者がこれらの能力を身につけられるよう様々な団体と協力しながら取り組んでいます。
代表の創業の想い
代表理事の濱本伸司は、熊本県立大学卒業後、地元テレビ番組のディレクターや人材育成コンサルティングに従事し、2002年から熊本市長秘書として活動しました。
急激な人口減少と地方都市での若者流出が深刻な問題になる中、濱本はメディアや行政の経験からまちづくりの必要性を痛感し、若者が地域の未来のために挑戦できる仕組みの必要性を強く感じ、2012年に一般社団法人フミダスを設立しました。
募集内容について
企業名 | 一般社団法人フミダス |
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仕事No. | 000000 |
価値観 |
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暮らし方 |
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求めるスキル |
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地域 |
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働き方 |
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関心テーマ |
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雇用形態 |
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求める人物像 |
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応募資格 |
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新卒エントリー |
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未経験者エントリー |
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勤務地の住所 | 〒862-0922 熊本県熊本市東区三郎2丁目20-15 |
勤務形態 | 正社員, 契約社員 |
勤務時間 |
9:30〜18:30(休憩時間1時間)
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給与 |
月給180,000円〜220,000円 (基本給160,000円+職務手当 10,000円〜50,000円+固定残業代10,000円) 固定残業代に関する特記事項 時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず、固定残業代として6時間分(賃金上限)~7時間分(賃金下限)として支給し、それを超える時間外労働は追加で支給。 住宅手当:5,000円~10,000円
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給与詳細(昇給制度やボーナスなど) | 賞与:年2回(夏・冬) |
福利厚生 | 社会保険完備 / ボーナス・賞与あり / 交通費支給 / 資格取得手当あり |
給与以外の報酬 | 特になし |
休日・休暇 |
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入社後のステップアップ |
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その他 | 特になし |